理化学研究所が発表した毒のないじゃがいもの作り方

第8わが国の誇る理化学研究所が発表した食の最新技術「毒のないじゃがいも」について記事を書いていこうと思います。

2016年9月14日(木)に発表された論文「Two Cytochrome P450 Monooxygenases Catalyze Early Hydroxylation Steps in the Potato Steroid Glycoalkaloid Biosynthetic Pathway」(理化学研究所 環境資源科学研究センター統合メタボロミクス研究グループ 梅木直行上級研究員、斉藤和季グループディレクター、大阪大学大学院の村中俊哉教授、神戸大学大学院の水谷正治准教授らの共同研究グループ、doi: 10.1104/pp.16.00137)によると、

毒のないジャガイモの開発を開発できる可能性を発見した、とのことです。

もうちょっと詳しく書きますと、ジャガイモに含まれる有毒物質であるソラニンなどのステロイドグリコアルカロイド(以下、SGA)の生合成に関わる遺伝子「PGA1」と「PGA2」を同定し、これらの遺伝子発現を抑制するとSGAを作らなくなるとともに、ジャガイモ萌芽を制御できる可能性が発見されました。

萌芽とは草木の芽がもえ出ることです。スーパーで購入したジャガイモなどは調理せずに放置していると、数日後に紫色のような芽が出ますよね。

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図 じゃがいもの芽(http://hige-oyaji.at.webry.info/201103/article_4.html)

じゃがいもの芽には毒があるから切り取って調理する、というのは料理の基本であることが広く知られています。

では一体、どういった毒なのでしょうか?

じゃがいもの芽の毒について

じゃがいもの芽にはSGAが高濃度に含まれており、食中毒を引き起こす原因になります。

また、SGAは苦味の原因にもなりますので、昔から「じゃがいもの芽は取り除きましょう」、と言われているのです。

SGA含有量をなるべく低くしてじゃがいもを育てることは、消費者にとっても、農家さんにとっても長年の重要な問題でした。特に農家さんにとっては、SGAを多く含む=毒を多く含む野菜ということもあり、品種改良から収穫までの管理を徹底しなければならないというかなりのコストを費やす必要があり、大変な労力がかかっています。

種類は異なれども、世界4位の農作物かつ重要な食料源であるじゃがいもに対して、SGAの問題は難しく、SGAがどのように生成されるのか、コレステロールを出発物質として生合成されること以上の詳しいことまでは本研究で解明されるまでは分からない状態でした。

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(発表論文よりFigure 1抜粋(doi(10.1104/pp.16.00137)))

理化学研究所では、共同研究グループが、SGAが多く蓄積される芽と花で多く発現する遺伝子を解析したところPGA1PGA2を発見し、PGA2はコレステロールを22-ヒドロキシコレステロールに変換する22位水酸化酵素をコードすること、PGA1は22-ヒドロキシコレステロールを22, 26-ジヒドロキシコレステロールに変換する26位水酸化酵素をコードすることを明らかにしました。PGA1PGA2の発現をそれぞれ抑制した遺伝子組換え植物体から収穫したジャガイモのSGA含量は、どちらの遺伝子を抑制した場合も非遺伝子組換えジャガイモよりも極めて低下していました。さらに、予想に反して遺伝子組換えジャガイモは休眠期間が過ぎても萌芽しませんでした。加えて土に植えると萌芽し始めました。以上の結果は、PGA1PGA2の遺伝子発現を抑制したり、ゲノム編集[4]で遺伝子を破壊したりすることで毒がなく、かつ萌芽を制御できるジャガイモを育種できる可能性を示しています。(参照記事:http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160726_2/)
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(発表論文よりFigure 4抜粋(doi(10.1104/pp.16.00137)))

食の安全は、国や民間の研究者らの努力により日々前進しています。

毒のないじゃがいもが作られれば、メークインなどSGAを生成しやすい品種に対しても、安全に、そして安心して調理することができるでしょう。

農家の方々にとっても全体を通した管理負担が軽減されるので皆がハッピーになれる可能性の高い研究成果です。

大げさかもしれませんが、あと50年くらいしたらじゃがいも=毒のない農作物、などという認識が常識になるのかもしれませんね。

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