[スペースデブリ]宇宙ゴミを除去!実現に向けた科学技術と注目企業を紹介

宇宙にはゴミがたくさん浮遊しています。その個数なんと大きいもの(10センチ以上)で2万個以上!小さいものも含めれば1兆個もあるのではないかと考えられているほど多いのです。

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ゴミといっても、一般家庭で毎週のように出している可燃ごみなどではありません。宇宙ゴミは

・ばらばらになったロケットのパーツ

・打ち上げに失敗したロケット

・用済みの衛星(任務を終えたらそのまま地球の周りをぐるぐる泳いでいます)

の大きく3つです。つまり、金属の塊ですね。ゴミと聞くと、地面に落ちていて動かないイメージが普通のため、宇宙空間にふわふわ浮いているイメージがありますが、この金属塊がどのくらいのスピードで宇宙を彷徨っているのかというと、なんと秒速7~8 kmです。なんだ遅いじゃん、と錯覚してしまいそうな表現ですが、”秒速”なので時速換算すると時速25200~28800 kmになります(笑) ピストルの弾丸が時速1500km程度だと言われているので(銃の種類によります)、宇宙ゴミの金属塊は弾丸の15~20倍くらいの猛スピードで地球の周りを彷徨っているわけです。当然ですが、当たればアウトです。

当たればアウト。そのためロケットや衛星を打ち上げるときは、ちゃんと宇宙ゴミの位置を確認して目的の軌道まで運ばなければなりません。小さな宇宙ゴミは地上から確認することが出来ないため、非常に大きなリスクを伴う大変な作業なのです。ちなみに、JAXAのデータによると、宇宙ゴミの数は下図のように推移予測されています。

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宇宙ゴミを回収する救世主が登場!?

現在、世界中の先進国で宇宙開発を我先に!と言わんばかりに開発が進められています。一方で、宇宙開発を行う際に発生する宇宙ゴミに関しては回収技術が非常に難しく、ビジネスとして利用するにはイメージが付きにくいため黙認している状況でした。

そのようなゴミ問題を抱える宇宙産業ですが、宇宙ゴミの回収に向けて日本ならではの回収技術というものが考えられています。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙ゴミ対策

日本の誇る宇宙の研究機関、JAXAが考える宇宙ゴミ対策を紹介します。

参考URL:http://global.jaxa.jp/activity/pr/brochure/files/engineering06.pdf

JAXAでは、「観測」「モデル化」「防御」「発生防止」の4観点から総合的な宇宙ゴミ対策の研究が進められています。例えば、JAXAのHPから抜粋してご紹介させていただきますと、

「観測」の観点では2000年ごろから研究開発が進められており、35cm光学望遠鏡と高速読み出しが可能なCCDカメラで撮影された画像を処理することにより得られる結果から宇宙ゴミを画として捉えます。

画像の処理においては「重ね合わせ」という手法が用いられています。一枚ではダメなのか?という疑問をまず先に思い浮かべると思いますが、一枚の画像だけでは微小な光のため暗すぎて検出ができません。無理やり明るくすると、画像処理の過程で画像全体が明るくなり、どこが宇宙ゴミなのか把握することができません。そのため、常に動いている物体を高速で撮影し、画像を重ね合わせて微小光を抽出する必要があります。

しかし、単に重ね合わせといっても、簡単なものではありません。常に動いている物体を重ね合わせると、当然ながら位置がずれてしまいます。そのため、位置合わせの技術を用います。動体の位置合わせについては、最近ではSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)やSURF(Speeded Up Robust Features)という画像の画像局所特徴量を抽出する技術や、画像全体に対する情報を活用した位置補正技術である下記4つの手法が用いられます。

SAD(Sum of Absolute Differences)

テンプレート画像と探索対象の同じ位置の画素の輝度値の差の絶対値を合計することで、両者がどれほど異なるかを計算する。そのため、値が0に近いほど、類似しているといえる。

SSD (Sum of Squared Differences)

テンプレート画像と探索対象の同じ位置の画素の輝度値の差の2乗を合計することで、両者がどれほど異なるかを計算する。そのため、値が0に近いほど、類似しているといえる。

NCC(Normalized Cross Correlation)

上記の2つと異なり、NCC は画像間の類似度を調べる手法である。意味的には2点間のコサインに近く、1~-1の値をとる。1なら同一画像ということ、-1ならネガポジ反転画像ということになる。

POC(Phase-Only Correlation)

POC は,画像をフーリエ変換して得られる情報のうち、位相情報のみを用いて画像をマッチングする手法である。NCCと同様、画像間の類似度を計算している。両者が類似している場合、POC 関数は非常に鋭いピークを有している。なお、このピークの座標は、両類似画像の位置ずれに相当する。

JAXAでは線分検出技術として、あらゆる移動方向を想定せず、現状の観測に即適用できる技術を採用しているようです。(参考図URL:http://www.ard.jaxa.jp/research_fy27/mitou/mit-kansokudata.html)

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本技術により、観測できなかった未知の宇宙ゴミを検出することに成功しています。

このような画像処理の他にも、宇宙空間上において宇宙ゴミを除去する「スペースデブリリムーバブル」という非常に面白い除去の構想が考えられています。原理としては、JAXAの文章を引用すると、導電性テザーを用いたデブリ除去方式であり、この方式では、デブリ除去衛星が、デブリに導電性テザーを取り付けた後、同テザーに電流を流し、地磁気との干渉により発生するローレンツ力を利用してデブリを落下させる技術のようです。
この方式の利点は、デブリの降下に燃料や大電力が必要ないこと、デブリへの取り付けが比較的容易であることで、比較的小型の人工衛星でも実現できる可能性があり、有力な方式の一つとして、研究を進められています。YouTubeに動画が紹介されていますので、ご興味があれば覗いてみてください。→https://www.youtube.com/embed/3EvCRR3BWKI

世界で唯一、たった一つの宇宙ゴミ対策企業が日本から誕生

宇宙ゴミ対策の研究やルール作りは世界中で進んでいる一方で、企業が何か実際に取り組んでいるのかというとあまりニュースになりませんよね。そんな中、日本から宇宙ゴミ対策を真剣に考えているベンチャー企業が誕生しました。アストロスケールという会社です。(http://www.ideaosg1.com/mission/astro/)

2015年に設立されたベンチャー企業ですが、産業革新機構から約34億円、他ファンドを含めると実に総額40億円という巨額の出資を受けるなど、凄まじい勢いで成長を続けています。

気になるのが宇宙ゴミの除去方法です。

既に海外で検討されていた網でゴミを捕らえる、という古典的な手法ですが実現に至っておりません。アストロスケール社では同方法を改良するのではなく、実に面白い方法でゴミを検出・捕獲します。粘着剤でくっつけて宇宙ゴミを捉え、高度を下げて大気圏で摩擦による熱で燃やすという方法です。そのための衛星を打ち上げる、という考えです。2017年初頭には地上では観測不可能な微小デブリの分布リサーチを行うために衛星「イデア オーエスジー ワン」(IDEA OSG 1)を打ち上げる予定とのことです。

研究開発や調査は行われているものの、技術的なハードルや投資コストに見合わない等、様々な考えが交錯して実現できていなかった宇宙対策ですが、アストロスケール社の取り組みが成功するとなると、衛星を打ち上げる際に目的軌道付近にゴミが邪魔で。。。という問題が解決できるはずです。非常に大きなビジネスへと発展すると思います。日本発の航空衛星企業が世界を席巻する未来に期待しましょう!