AIを活用した建築業界の技術を分かりやすく説明

 

[建築は人の手からAIに。]

建物を建築するとき、設計図は必須です。もちろん、人類の歴史では人間が熟考し、ベストかつ魅力あふれる図面をもとに様々な建物が建てられてきました。

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過去ももちろんですが、建築を行うにあたって引っかかるポイントとは何でしょう。コスト=お金ですよね。

図面を考えるとき、構造を考え、設備配置を考え、材料を考え、全体の耐震性を考え、、、建築士は様々な知識を駆使して基本となる図面を設計します。建物はティッシュペーパーなどの消耗品とは違い、長期的に使われ、環境面や人の命にも関わるため、多くの時間を費やし、完璧といえる状態で施工に移ります。建物ができるザックリとした構図は、

  • 設計(間取り、仕上げや仕様、予算)
  • 契約・申請(請負契約、建築確認)
  • 実施設計(詳細図面・工事用図面を作る)
  • ③の準備期間
  • 工事

③と④って案外時間がかかるものです。(既に仕様が固まった注文住宅のようなものであれば早いかもしれませんが)設計士によって異なりますが、設計の時間は早い人で数ヶ月、時間をかける方で1年以上を費やすこともあります。建築において設計は、それだけ大事なフェーズなのです。

そんな中、今年のトレンドワードとも言える、人工知能が活躍し始めました。おそらく、数年前から考えられていたであろう、AIを使った図面設計をビジネスとして活用し始めた日系企業があります。超大手ゼネコンの鹿島です。

 [着工が断然早くなる!? AIを用いた図面設計とは]

鹿島は人工知能とBIMを活用し、施工計画を自動的に作成するシステムの開発に着手しました。BIMという言葉は一般的に知られていませんが、建築用語の一つであり、Building Information Modelingの略称で、コンピュータ上に作成した3次元立体建物のモデルをベースに、コストや仕上げ、管理情報などの属性情報を追加し、設計や施工、価格など建築物に関連する様々な情報を落とし込んだ「3次元の建築情報データベース」です。

このBIMがあれば、大きな建築物だと数千枚にも及ぶ図面をコンピュータを使って作業を簡易化することができ、建築業界にとっては大変なメリットが生まれます。もっと噛み砕くと、BIMでは3次元情報が全ての図面(床や壁や窓や柱も含めて)に反映されるため、図面間の整合性が取れ、加えて部品の情報・価格・管理情報などを一括して管理できるというとても大きなメリットが受けられます。

じゃあ、AIいらないじゃん。

となりますよね。ここがポイントなのです。BIMでの欠点はソフトウェアの扱いが非常に難しいこと。ここにAIが大活躍します。

 [“自動で案を出してくれる]

先ほど、BIMという技術は大変便利でありながら、ソフトウェアの扱いが非常に難しいということを述べました。BIMを使いこなせる方は建築業界で引っ張りだこでしょう。しかし、BIMをいくら使いこなせるからといっても、やはり人が操作し、時間をかけて作らなければなりません。そこでAIが役に立ちます。

例えば、Googleから独立したFlux社は独自開発の技術を用いて建築図面の自動設計システムを開発しています。BIMとの大きな違いはエンジニア=人が頑張って作るのか、コンピュータがサッと作るのか、の違いです。

AIを用いた設計では、建物の意匠や構造、設備の基本データを大量に覚えこませることで、三次元の立体建築モデルを自動で作成してくれます。もちろん、法の規制をクリアできるように、建物の高さや長さ、位置すらも考慮して3次元データを構築することが可能になるのです。

同じPCを利用しても、手動で立体図面を構築するのと、自動構築してくれるのでは大違いです。耐震設計や構造的な知識もAIを活用すればいとも簡単にクリアできることでしょう。

筆者の考えですが、AIとBIMを連携させたシステムが完成した場合、

  • 建物の意匠を決める(人間)
  • AIに新しく建築する情報を入力(人間+機械)
  • モデル完成(機械)
  • 微調整(人間)
  • 施工(人間)

と今まで人が頑張って長い期間やっていた図面設計を相当短縮でき、大規模シミュレーションソフトウェアとも連携させれば、災害時の避難経路や人の流通ルートまで計算することができるので非常に効果的な建築を行うことができると考えています。いま、その組み合わせる要素ごとの技術は土台ができているので、頑張って投資すれば作ることは可能なはずです。

AIは人の仕事を奪う。確かにそうかもしれませんが、責任の所在や安全性の確認をはっきりとさせるためにも最終判断はやはり人が必須です。建築業界においてAIによる技術的、革新的なイノベーションは目の前まできています。とても楽しみですね!